ドーベルマン 犬種標準(AKC)

現在、FCI(JKC),KC,AKCにそれぞれ犬種標準書(スタンダード)がありそれぞれの団体の歴史的な成り立ち、思想などが反映されたものになっています
ここではAKCのドーベルマン・ピンシャー犬種標準を紹介させていただきます

引用元: AKC公認全犬種標準書 『犬の辞典』
原著者 アメリカン・ケンネル・クラブ 日本語版監修 筒井俊彦 高田進

●全的外観

 ― 中型犬のサイズで、スクエアな体型をしている。引き締まった体と発達した筋肉と体力は、非常な耐久力速さを生み出す。優美な外貌と誇らしげ姿勢は、高い品位と気質の表れである。エネルギッシュで用心深く、断固とした態度をとり、敏捷で恐れを知らない。忠実で従順な性質である。

●サイズ、プロポーション、骨格体高

 体高 ― オスはキ甲で26~28インチ(66~71.1センチ)、理想的には27 ½(69.9センチ)。メスは24~26インチ(61~66センチ)、理想的には25 1/2インチ(64.8センチ)。体高は、地上からキ甲の最高点まで垂直に測った長さで、それは前胸部から大腿部の後部突起まで水平に測った体長と等しい。頭部、首、四肢の長さは、胴の長きや深さと均整がとれている。

●頭部

 ― 長くドライ(しわがない)前望または側望で、鈍いくさび形に近い形をしている。前望で、耳の付け根に向かてきれいな線を描いて徐々に広がる。 ― アーモンド形で、ほどよい深さで付いる。元気いっぱいエネルギッシュな表情。虹彩は独特な色で、ブラックの犬で中程度からとても濃いブラウンまで。レッド、ブルー、フォーンの犬では、虹彩は斑色と調和する。どの場合でも濃い色ほど望ましい。 ― 通常は断耳して直立している。耳を立てたとき、付け根の上部は頭蓋の頂点と同一線上になる。頭蓋 ― 頭頂は平らで、わずかなストップを見せて口吻の鼻梁となる。口吻の線は頭蓋のトップラインと平行である。頬は平らで筋肉質。 ― ブラックの犬では黒一色。レッドの犬では暗褐色、ブルーの犬では濃いグレイ、フォーンの犬では濃いタン。唇は引き締まり、顎は力強く、目の下は充実している。 ― 強く発達していて、白い。下顎の切歯はまっすぐ生えて、上顎の切歯の内側に接する真の鋏状咬合である。42本の歯が正しく生えていること(下顎に22本、上顎に20)。ジステンパーにおかされた歯は減点されない。失格となる欠点:3/16インチ(0.5センチ)以上のオーバーショット、1/8インチ(0.3センチ)以上のアンダーショット。4本以上の欠歯。

●首、トップライン、胴

  ― 誇らしげにもたげ、筋肉が十分張ってしわがなく引き締まっている。アーチになっていて、うなじは胴に向かって徐々太くなる。首の長さは胴と頭部の長さに比例する。キ甲 ― 際立っていて、胴の一番高い部分となる。背は、短くかたく十分重幅があり、腰部で筋肉がよく発達し、キ甲からやや丸みを帯びた臀部までまっすぐ伸びている。胸 ― 広く、前胸部がはっきりしている。肋骨脊椎から十分に張っているが、肘にゆとりを持たせるため、下のほうで平らになる。前胸部 ― 深く、肘にまで達している。腹部 ― よく巻き上がり、前胸部からカーブを描いて伸びている。
腰部 ― 幅広く、筋肉が発達している。臀部 ― 幅広く胴と釣り合っていて、肋骨の張っているところと肩の部分の胴の幅に等しい。尾一ほぼ第2尾椎を残して断尾し、脊椎とつながっているように見える。緊張したとき、水平よりやや上に上がる。

●前軀


肩甲骨地面に対して45度の角度で前方下方に傾斜し、上腕骨と90度の角度で結合。肩甲骨と上腕骨の長さは同じ。肘からキ甲までと、地面から肘までの高さはほぼ同じ。前肢 ― 前望と側望で、肘からパスターンまではまっすぐで、互いに平行している。筋骨たくましく引き締まって、骨量はかたい。通常の姿勢と歩行時は、肘は前胸部に接近している。パスターン - 堅固で、地面に対してほぼ垂直。狼爪は取り除く。 - 十分アーチ状で引き締まり、猫足状で内側外側に曲がっていない。

●後軀


後編の角度は前編の角度とバランスがとれている。坐骨は、約30度の角度で脊椎から下がり、やや丸みを帯び、充分肉のしまった臀部を構成する。大腿部 ― 坐骨と直角で、長く幅広く、腿の両側は筋肉が十分発達しており、スタイフルと区別できる。上下眼は同じ長さ。休んでいるときは、飛節から頭までは地面に対して垂直。後望で、後肢はまっすぐで平行、適正な体格を持つ胴との兼ね合いから十分離れている。狼爪はどんなものでも、ふつう取り除く。猫足 ― 前肢と同様、内外に曲がっていない。

●被毛

短毛でかたくて厚く、皮膚に密着している。首の周りのグレイの下毛は、目に見えない程度ならよい。

●毛色とマーキング

許容される毛色はブラック、レッド、ブルー、フォーン(イサベラ)。マーキングは、はっきりした鉄さび色で両目の上、口吻、喉。前胸部、四肢、足、尾の下方に見られる。1/2インチ(1.3センチ)平方をこえないホワイトの斑点が胸にあるのは許容される。失格となる欠点 ― 許容範囲外の毛色。

●歩様

自由でバランスがとれ、元気にあふれる。前編は十分伸び、後編はすばらしい推進力を生み出す。トロットでは、後部に力強い推進力が見られる。後肢は、同じ側の前肢と同一線上を進む。前・後肢とも内側外側に踏み出してはならない。背は強く安定している。トロットよりスピードが増すと、適正な体格の犬は、単線歩様になる。

●気質

エネルギッシュで油断なく、毅然としていて機敏、怖れを知らない。また、忠実で従順。審査員は、尻込みしたり、癖の悪いドーベルマンは審査場から退場させる。審査のために立つのを嫌がって審査員に尻込みしたり、後ろから接近されるのを恐がったり、突然、または聞きなれない音響に人目にわかるほど怖じけ付いたりするのは、もともと臆病な犬と判断される。審査員かハンドラーに飛び付く、または飛びつこうとする犬は悪い癖を持っていると判定される。他の犬に対して攻撃的、または好戦的態度をとるのは、悪い癖とされない。

●欠点

上述の標準から外れている犬は、その度合いに応じて減点される。

●失格


〇3/16インチ(0.5センチ)以上のオーバーショット。
〇1/8インチ(0.3センチ)以上のアンダーショット。
〇4本またはそれ以上の欠歯。
〇許容されない毛色。
1982年2月6日 認可
1990年11月6日 改正

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